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2013-10-26

芸術祭十月大歌舞伎「義経千本桜」 歌舞伎座



 11月は東西の歌舞伎を見に行ったのですが、他にもなかなか忙しく、レビューを書かずにいたら、千秋楽を迎えてしまっていました…反省。

 まずは日帰りで行った歌舞伎座の「義経千本桜」通し狂言。
 朝早い飛行機に乗っていったけど、結局歌舞伎座以外どこも行けませんでした。歌舞伎見るのってホントに一日仕事。
 歌舞伎ギャラリーすら見る時間がなく、屋上庭園だけ行きましたが、庭園思いのほか小さく、あれをあんなに宣伝したらあかんと思う…。なんばパークスみたいのを想像してた…。


 さて、本編。まず、通し狂言って銘打ってるけど、「鳥居前」の前の話、義経の正妻が自害するくだりがなかった。あの話(文章でしか読んだことないですが)すごく好きなのに。

 幕が開けば「鳥居前」。伏見稲荷ですな。
 実はあんまりちゃんと配役を見ていなかった私は、義経が尾上菊之助丈だったので、びっくり仰天。勝手に通しで梅玉さんだと思っていた。流石にそれは梅玉さん大変ですよねww
 菊之助丈、若々しく貴族的で、気品あふれる義経でした。美しすぎる。美しすぎる若君! そして静御前は中村梅枝丈。二ヶ月続けてヒロイン。最近売り出してるの?
 そして、このくだりの本命、中村歌昇丈の亀井六郎は美貌が際立っていた。中村種之助丈は五月人形みたいで勇ましく若々しく素敵。中村隼人丈はイケメンで目立つ。中村米吉丈も勇ましく可愛い。なんだこの美形四天王。
 ともかくフレッシュで美しい義経・静と四天王に持ってかれまして、後半の荒事は割と気を抜いて見てました。今まで見た中では松緑さんの荒事、よくできてました。




 続きまして、「碇知盛」。山場その1ですな。
 私、歌舞伎にハマったきっかけが、中村吉右衛門さんの碇知盛だったので、どうしてももう一度見たくて! 今回の遠征を決めたようなものです。なかなか上方へいらっしゃらないしね…。歌舞伎座出来てしまったからもうほぼないですよ。しばらく播磨屋の襲名もないでしょうしおすし。
 吉さまのすっきりとした様子、粋だなあ。江戸の役者ってかんじだわー。これは上方にはないタイプだわー。相模五郎のあしらいもすっきりとして、惚れ惚れする。芝雀さんの重みのある典侍の局も圧巻でした。あと、子役がすごいかわいくて、演技も下手すぎず上手すぎず、いたいけさと健気さが際立って入水時とか涙を誘う。
 相模五郎の中村又五郎さんも素晴らしかったですね。最初に出てくるところではコミカルに、二度目の出の物語は形美しく勇ましく、メリハリの効いたよい相模でした。
 そして、義経は安定の中村梅玉さんに代わるが、
「旅の艱苦にやつれ果てたる御かんばせ」
という義太夫に伴って出てくるのが梅玉義経なので、
「都でハツラツとしていた義経こと菊くんが、やつれたら梅玉さんになったってこと!!?」
て思った…www
 四天王の方は鳥居前から引き続きの面々。四天王は最後までこの面々だった。美形集団w 見てるだけで心潤うよ…
 最後の山場は、あまりごてごて演出せず、覚悟を決めた知盛の美しさ、哀れさが際立っていたと思う。吉さまの体調の影響もあるかもしれぬですが、それが悪い方向でなく、むしろいい方向に作用している。吉さまが芝居にかける真摯な思いが現れたよい舞台でした。

 感動。もうこの時点で結構お腹いっぱいなのである。

しかしこのあとまだ、昼の部は道行初音旅があるのだ。
 しかも尾上菊五郎さま、坂田藤十郎さまという、人間国宝二人の共演でございますよ! もう今日3人の人間国宝の演技見てるわけですよ。贅沢やなあ。
 正直、碇知盛で力を入れすぎ、また朝めっちゃ早かったこともあって、私は疲労困憊していた。
 かわいらしい静こととうじゅろさん。形美しいきくごろさん。しかも結構好きなんです、吉野山。なのに…。なのに! 途中ちょっと寝ちゃった。
 でも私は言いたい。周りの客席、結構みんな寝てた。これはね、内容濃すぎですよ!
 見所ありすぎて気が抜けないから、みんな疲労困憊しますよこれは! でもすげえもったいないことをしたと心底後悔しております!!
 藤太が出てくるところで目が覚める(多分みんなそう…)。團蔵さんすごくいい藤太だった。面白かった。

 以上で昼の部終了です。疲れた私は三越まで歩き、ソファで休憩してHPを貯め、お弁当を買ってからまた歌舞伎座へ戻ったのであった。

夜の部はHP溜まってからまた書きます。
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theme : 歌舞伎
genre : 学問・文化・芸術

2013-10-26

もう耐えられない! ヘイトデモ

 人の悪意を浴びるのは、当事者でなくとも不愉快なことだ。街を歩いていたら「殺せ!」とか「死ね!」とか言っているのを聞かなければならないというのは苦痛だ。

 ドラマ「夫婦善哉」を見て自由軒のカレーを食べたくてたまらなくなった私は、ある週末、千日前の交差点を渡ろうとした。たくさんの警官。その真ん中でspeak outする人。別に聞きたかったわけじゃない。でも拡声器からの声は勝手に耳に入ってくる。内容は韓民族が卑劣で、我々は国土を守らなければならないというようなことだった。周りから殺せというような言葉。不愉快だった。誰かが誰かを殺せと言っている。しかも、その人がなにかをしたからじゃない。国籍が韓国籍、北朝鮮国籍だから殺せという。
 もう聞きたくなかった。だから、ヘイトデモの情報を調べて、かち合わないようにしようと思った。デモがある日はその周辺に近づかない。意外と梅田はデモがないので快適である。

 今週末は日刊国交断絶国民大行進というデモがあるらしい。場所、時間を知るため告知動画をクリックする。赤字ゴシックの典型的なやつ。これは近づいたらあかんタイプっぽい煽り方。そして、使われている音楽に衝撃を受けた。rage against the machine。
 RATMの音楽が私は好きです。革新的なギターサウンド、衝撃的なライム、ファンキーなリズムライン。そしてその思想。大国の中のマイノリティーの叫びを体現していたのがRATMだった。
 
 そもそもこの曲「GUERRILLA RADIO」の歌詞に出てくるムミア事件をこの動画の作者は知らないのだろうか? これは、人種差別的な裁判で死刑判決を受けた黒人ムミア・アブ=ジャマールをテーマに、人種差別を放置するアメリカ政府と特権階級を告発した曲なのだ。どう考えても特定民族を批判し、排除しようとする活動にふさわしい曲ではない。Rage Against Korea などと、RATMの名前を使ったような煽り文句もやるせなかった。この動画を作った人は、RATMを聴いていながら特定の民族を排除するデモをしようと思ったのか。メッセージは全然伝わらないってこと? すごくショックだった。曲の意味を全然理解していないわけでもなさそうなのが余計にやるせない。表面上の煽り文句だけ拾う人。
 RATMのメンバーがこの動画に自分の音楽が使われているということを知ったらどんなに悲しむだろうと思う。そして、この時初めて、ヘイトデモに対するやるせなさが、怒りに変わった。
 結局私は、大事な、大好きなRATMの曲が汚されたから怒っているのである。自分の都合でしかない。でも、ずっと怒りをくすぶらせていたのも本当なのだ。だからこの一点で耐えられなくなってしまった。

 いつかこのブログでも書いたことがあるけど、日本は、人種コンプレックスは強く持つ国だけれど、人種差別意識が低い国だと思っていた。そんなこの国の文化が誇らしかった。でも違ったんだな。私の勘違いだった。この国は、特定の民族を排除しようと動く団体を是とするような国なのです。

 誰かに対して腹を立てて「死ね!」と思ったり「殺したい!」と思ったりすることは(本気度合いはともかくとして)誰にでもあることだと思う。でも、普通はその感情を相手にそのままぶつけたりはしない。ヘイトデモの、根本的な問題はそこにあると思う。さらには、具体的に何かをされた相手に対して「殺したい」と思っているわけでなくて、ただその集団に属している人だ、という理由でその人を「殺せ!」と大声で叫ぶというのは、その理不尽さが悔しい。

 「死ね!」とか「殺す!」ということを、相手に伝わる形でspeak outすれば、それは脅迫行為で犯罪だ。
 さらに、特定の民族に対する殺害行為、レイプ行為などの街宣、ビラ、うわさの流布などの宣伝活動は民族浄化の手法の一つでもある。また、彼らの主張する在日コリアンの国外退出がもし実際に国家で行われば、完全な国家犯罪となります。国家犯罪を喧伝するデモを合法にしていいのか、私には甚だ疑問だ。

 日本がもし、本当に自由な世界を希求しているのならば、いつか絶対このヘイトデモの増加は歴史の汚点になると思うから。もうやめてください。

theme : 政治・経済・社会問題なんでも
genre : 政治・経済

2013-10-10

骨太な雑誌

ずっと気になってて、最近初めて買った雑誌が二つともすごく面白かったので誰得でもなく俺得ですが自分用にメモしておく。

婦人画報 2013年 11月号 [雑誌]婦人画報 2013年 11月号 [雑誌]
(2013/10/01)
不明

商品詳細を見る


今回初めて、家庭画報と婦人画報は出版社が違うことを知りました。
婦人画報のコンセプトは
「年齢を重ねるほどに咲き続ける知的で美しい女性。『婦人画報』はそんな女性のために、ファッション、美容、健康、旅などをテーマに、上質な人生のヒントをお届けします。」←HPより引用

要はセレブなご婦人たちをメインターゲットにしてらっしゃいます。
まず、分厚い。これはページ数が多いというより、紙が上質なのだと思います。だから、重い。ずっしり重い。机の上に広げるか、寝転がって地べたに置いて読まないと、腕が死ぬレベルで重たい。
紙面に載っているネックレス、一億円以上(参考価格)のモノとかあります。数百万円のレベルは普通です。最後の方に20万円くらいのコートが載ってて「安いじゃん」とか思ってしまいました。
    全 然 安 く な い の に
ファッション関係、コスメ関係、グルメ関係とは別に、カルチャー誌のような特集も充実しています。古本屋特集、歌舞伎・落語関係のコラム、旅関係の特集も浮かれた内容でなく、テーマが新美南吉を旅するとか。対馬とか奈良の特集も歴史に焦点を当てたまさに「知的」な旅という感じ。
ファーニチャーの特集(なのか?)の川島織物セルコンの記事なんて、その技術と歴史を紐解く、NHKのドキュメンタリーみたいな作りです。
なんか…ホントにこんな生活してる人間いるのか? と思いますが、ちゃんと毎号休まず発刊してるところを見ると、きっと本当のお金持ちはこういう生活をしている・・・のかもしれない。
なんで今号買ったかというと、歌舞伎役者の上村吉弥、上村吉太朗の師弟の特集があったからです。吉太朗さん、紙媒体の雑誌に特集されるのは初なはずです。
お二人のお写真、シンプルな構図なのに非常に美しくきれいに撮られていて、カメラマンの腕もいい。金かかってる雑誌だった。ファッション誌というよりカルチャー誌に近いような感じがした。載っている服買えないという意味でも…。


上方芸能 189号 2013年9月号
http://www.kamigatageinou.gr.jp/

古く、正しい意味での同人誌の香りかぐわしい雑誌でした。こういう読み物を久しぶりに見つけてうれしくなっちゃった。
全記事が署名記事。
落語・文楽・歌舞伎・舞踊(上方舞)・歌劇系演劇などの 元々上方芸として全国的に認識されているものから
メディア、クラシック音楽、演劇、ダンス、漫才、文学までの上方芸能を網羅した雑誌です。

上方の文化力は、私が物心ついたときには既に低下の一途をたどっており、絶滅の危機を迎えた最近になってやっと巻き返しを図る動きが活性化してきた感がありますが、この「上方芸能」は1968年創刊の老舗で、作りがすごい骨太。大阪の文化の空洞化への危機感ハンパない。
上方文化というのは本来、やわらかい文化であるということが、最近の方には分かっていただきにくく、それに対する焦燥感みたいのは、すごく共感できました。
「東の文化と西の文化は両輪で、片方だけではダメ」というのは上方の関係者ばかりがいうことで江戸ではとんと聞きませんが、
経済と違って、文化は多様性を持つべきだと思うので、日本の単一文化主義化を食い止めるストッパーとしても、上方文化は力を持たなければならないのかもしれない。

それにしても関西系の文化人の橋本批判は厳しく激しい、この雑誌でも散見された。まあ、私も、橋本の自治都市・堺の選挙に対する無策ぶりには開いた口がふさがらなかったですけど。摂津系住民とは言え大阪育ちなのに。こういうところにも、橋本の文化への低リテラシーが透けて見えるわー。
2013-10-06

松竹座 十月花形歌舞伎 夏祭浪花鑑

 夏祭ってなかなか通しでやらないのですが、通しで見てもなかなか面白い狂言でした。

 この間、夏に文楽の方の夏祭を見たばかりでしたので、韋駄天の動きの写し方とかもよく比較できて楽しかったです。愛之助、素晴らしかったです。我當さんによく教えてもらったのか、上方の香りかぐわしい、これぞ松嶋屋と思わせるだけのものを持ってきたと思います。
 ほかに良かったのは番頭役の市川猿弥さん、そして義平次役の方、どなたでしょう? 不勉強でわかりませんでしたが當十郎さんあたりかなと思っておるのですが…

 そしてすごく期待していた上村吉弥さんのお辰ですが、気負いがあったのか、あまり伸びやかではなかったかなあ、と思いました。まあ、三日目の舞台でしたので、今後よくなっていくと思いますが。

 さらに、今月、夜の部も上村吉太朗丈、丁稚の役で出てらっしゃいました。確実によい経験を積んでいってらっしゃって、今後の成長も楽しみです。

 壱太郎丈も上手かったのですが、お梶をするにはちょっと年若すぎたかな、凄みが足りないかなとか思ってしまいました。やっぱり今はまだ、可憐なお役の方が映える気がする。でも、お梶を演じたことは、今後の壱太郎丈の演技の幅を広げるでしょうから良いことと思います。

 大詰めの愛之助の立ち回りを見て、この凄みは、昨今の御曹司にはなかなか出せない味やな、と思いました。誰とは言いませんが…

 愛之助、実力も人気もついてきて、これからが非常に楽しみです。これは、ひょっとしたら、ひょっとしたりするんではなどと…思ったりして。

theme : 歌舞伎
genre : 学問・文化・芸術

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Author:tsubana
大阪在住、社会人やってる隠れのオタです。最近歌舞伎にハマってます
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・阿部敦 ・片岡仁左衛門 ・上村吉弥、上村吉太朗
・桃井はるこ などなど

  
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